海外の方でも日本で起業して、自由に日本で経営活動を行っていくことができますが、そのためには、社会保険の加入手続きが必要になってきます。
日本で加入しなければならない社会保険について説明していきます。
1.従業員を雇っている場合の社会保険
海外の方が日本で起業したときに、会社を設立したあとに、社会保険の加入手続きを行わなければなりません。
このときに、従業員を雇っている場合には、労働保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険への加入が必要になります。社会保険というと、健康保険と厚生年金保険のことをいいますが、上記の4つを全部あわせて、まとめて社会保険というときもあります。
(1)労働保険
労働保険とは、労働者災害補償保険のことです。従業員が仕事をしているときや通勤途中などに災害にあった場合などに支払われる従業員のための保険です。正社員のほかにも、アルバイトや外国人である社員も保険の対象になるので、従業員を一人でも雇っている場合には、労働保険に加入しなければなりません。ただし、会社の役員については対象になりません。
保険料は、従業員を雇っている企業が全額を負担します。
(2)雇用保険
雇用保険は、失業保険ともよばれます。従業員が失業したときに、次に就職するまでの一定の期間の生活保障などを支援するための保険のことです。雇用保険も労働保険と同じように、従業員が一人でもいる場合には加入しなければなりませんが、短時間労働者などは雇用保険が適用されないこともあります。
雇用保険は、従業員と企業が一定の割合で負担します。どのくらいの割合かは、業種によって違います。
(3)健康保険と厚生年金保険
健康保険は、病気やけがをしたときのための保険です。厚生年金保険は、老後の年金などのための保険です。起業して会社を設立した場合には、従業員がいなくて社長一人の場合にも、この2つには加入しなければならないことになっています。保険料は、給料の額などに保険料率をかけて計算しますが、この保険料率は改正される回数が多いので、改正の時期には注意しておかなければなりません。
保険料は従業員と会社が半額ずつ負担することになっています。会社の負担が大きいので加入していない企業もありますが、近年は、社会保険の調査が厳しくなるなど、国として社会保険に加入させるような対策をしています。日本で会社を設立して企業する場合には、必ず加入手続きをするようにしましょう。
2.従業員を雇っていない場合の社会保険
従業員を雇っていない場合には、労働保険と雇用保険は加入する必要がありませんが、健康保険と厚生年金保険については、社長一人しかいない場合でも加入しなければなりません。
3.まとめ
日本の社会保険の制度は、仕組みが複雑で、日本で起業したときには必要な書類もたくさんあります。入国管理局のビザ申請のときに、企業が社会保険に加入しているかどうかを確認することもありますし、社会保険への加入は会社を設立して起業したときの義務ですので、しっかりと手続きをしていくようにしましょう。