法人の場合、銀行口座の開設をしなければ企業活動をしていくことは難しくなります。日本で起業をしようと思ったとき、まずは銀行口座を開設する必要があります。
外国の方が、日本で法人口座を作る場合にはどうしたらよいのでしょうか。
1.会社を設立するための銀行口座
(1)個人名義の銀行口座が必要です
外国人の方が日本で設立をするときには、会社を設立する前に銀行口座が必要です。会社を設立する前ですので、会社を設立しようとする発起人か代表取締役名義の銀行口座が必要になります。
会社を設立する前に銀行口座が必要な理由は、資本金に相当するお金がきちんと用意されているかどうかを、会社を登記する「法務局」という役所が確認をするためです。会社は、「法務局」で「登記」という手続きをすることで、はじめて存在が認められて「法人」になり、社会で活動することができるようになります。会社を登記する前には、会社自体が社会に存在すると認められませんので、会社名義の銀行口座も作ることはできないのです。
以上から、まず会社を設立しようとする発起人か代表取締役名義の銀行口座が必要になります。
(2)会社を設立するための銀行口座
会社を設立するための銀行口座には、会社設立前は、個人名義の銀行口座が必要ですが、外国人の方が日本に銀行口座を作ろうと思うと少し大変です。長い間、会社設立前に日本で活動している外国人の方は銀行口座も作りやすいのですが、外国に住んでいて日本で会社を設立しようと思っている場合には、90日以内の短期滞在だけでは、銀行口座を作ることができません。また、長期滞在ビザを持っていても、日本に滞在している期間が6か月より少ないと銀行口座を作ることができません。
(3)在日パートナーを作る
日本で会社を設立しようとするときに、在日パートナーがいれば、在日パートナーに会社の代表取締役になってもらい、そのパートナーの個人口座に送金して会社を設立させてから、代表取締役を交代する方法だと、スムーズに会社設立をすることができます。
また、代表取締役は複数でもよいので、代表取締役のうちのひとりが銀行口座をすぐに作ることができれば、まずはその代表取締役の銀行口座を利用するという方法もとることができます。
(4)必要書類
日本で銀行口座を作るには、日本人でも外国人でも、
①身分証明書などの書類
②印鑑
③連絡先の電話番号
が必要になります。印鑑は、銀行によってはサインでよいところもありますが、日本の銀行はほとんどが印鑑が必要です。電話番号は、携帯電話の電話番号でも大丈夫です。
外国人の場合には、
④在留カード、パスポート
⑤住民票
も必要になります。
⑥特別永住者証明書や運転免許証など
もあれば、持参しましょう。
これらの書類は、銀行によっても違いますので、まずが銀行に問い合わせてみましょう。
2.会社を設立してからの銀行口座
(1)会社名義の銀行口座
会社を設立してからは、会社名義の銀行口座を作ることができ、会社の名前で取引をすることができるようになります。1.(1)で説明したように、「法務局」で登記されることで、会社が社会で活動できる存在として認められ、会社自体の活動ができるようになったからです。
(2)必要書類
会社名義の銀行口座を作るには、その会社がきちんと登記されたものであるかどうかを証明する書類が必要です。具体的には、
①登記事項証明書
②会社の定款(認証を受けたもの)
③代表取締役の印鑑証明書
④法務局へ届け出た代表印
⑤銀行印に使用する印鑑
⑥身分証明書
が必要になります。
(3)会社を設立してから銀行口座ができるまでの時間
法人名義の銀行口座は、会社を設立してからすぐにできるかというと、そうではなく、時間がかかります。
登記事項証明書は、会社設立をしてから1~2週間後にしか取得することができるようになりません。また、銀行に書類を提出しても、法人の銀行口座を開設するときには、書類に不備がないかどうかなどの審査がありますので、さらに1~2週間かかるからです。
3.銀行口座を開設するときに困ったときには
これから会社を設立しようと思っている方で信頼できる在日パートナーがいない場合には、まずは自分で銀行口座を作ることができる期間、日本に滞在する必要がありますが、会社設立に詳しい専門家に相談することもできます。
さらに、銀行口座開設にはいろいろな書類が必要になりますので、日本で外国人の会社設立に詳しい専門家がパートナーにいると便利なのではないでしょうか。
日本の政府から認められた資格のある税理士のいる、外国人の会社設立に詳しい税理士法人であれば、さまざまなケースに対応できますので、まずは税理士法人などの専門家に相談してみることもおすすめです。